発酵食品はそれぞれ造られた土地の特長があり、その地の味覚や暮らしの記憶が保存されたアーカイブ。
味噌、納豆、カルピス、醤油、日本酒、ビール、ワイン…。
ふだん何気なく口にしている発酵食品は様々だ。
発酵食品には興味があるけど、いまいちどんなものがわからない。
そんな疑問をやさしくヒモ解くイベントがD&EPARTMENT YAMANASHIで開かれた。
発酵トークイベント概要
日 程:2019年8月17日(土)
時 間:①11:00〜12:30
②14:30〜16:00の2回開催
参加費:1回(同内容)につき2,000円(税込)
発酵トーク登壇者について
<写真左から>
五味醤油株式会社の五味 仁氏、飛び入り参加の熱燗DJつけたろう氏、発酵デザイナー小倉ヒラク氏、マルサン葡萄酒若尾亮氏、五味醤油株式会社の五味 洋子氏。
発酵デザイナー 小倉ヒラク
世界唯一の発酵専門のデザイナー。元々は化粧品会社のデザイナーだったが、体調が悪くて味噌汁を飲み始めてから体調に変化が現れ、発酵の世界に魅せられてこの世界に。現在国内にとどまらずに活躍の場をヨーロッパにも展開中。
第4回 食生活ジャーナリスト大賞 「ジャーナリズム」部門大賞 受賞。
発酵兄妹 五味 仁 & 洋子
100年以上続く家業の味噌屋を継ぎ、日本に味噌文化を普及するために奮闘中。
森ゆにによる「手前味噌の歌」はグッドデザイン賞受賞。
過去のワークショップはこちら
醸造家 マルサン葡萄酒 若尾 亮
スカミュージシャンでもある醸造家。デイリーに飲む甲州ワインを造りながら音楽と甲州ワインのつながりを日々楽しみ中。
発酵トークイベントの内容
午前と午後の部があり、午後の部に参加。午前からエンジンがかかっていたようで登壇者の熱もすごい。
日本発酵紀行について
まず前半に小倉ヒラク氏が1年弱かけて47都道府県の発酵現場を取材。
日本の多種多様な発酵文化とそれらが生まれた背景を編集して発刊した「日本発酵紀行」についても触れた。
次は若尾氏とのトーク。
ブドウの栽培から始まり、ワイン造りの姿勢やワインツーリズムやまなし®️、流通など多岐にわたる。
いずれも山梨在住なので親近感もあり、47都道府県に根付いた発酵を熱く語る。
後半は発酵兄妹である五味仁氏と洋子氏。
味噌をとりまく環境や現在の事業内容について語ってもらった。
以下苦労話などを覚え書き
日本発酵紀行に関して
■県によって種類はかぶせない
■土地に根付いていること(三代)
■現場に行って取材したもの
■九州と東北が凄まじい(むかでづけなど)
■海でつくってお盆に山でお供えした後にたべることが印象深かった。発酵と信仰は密接。
ワインづくりに関して
■勝沼は酸が少なめ 西日が多いため。
■北杜市は酸が高め 西日が少ないため
■ものをつくっている環境が整っているので毎日飲めるおいしいワインを作っていきたい。
■ヨーロッパにも格付け以外の地酒がある。
■日本に輸入されるのは基本格付けが高く寝かして飲むものが多い。
■日本も格好つけずに何も考えず飲める文化もある。
味噌づくりに関して
■味噌・醤油などの会社は代替わりがうまくできないところが多い。
■事業継承が難しい。
■B to B から B to Cに切り替わった。
■醤油はもう造ってはいないが屋号を変えるつもりはない。
特製甘酒登場
しばらくするとD&DEPARTMENTに併設しているフォーハーツカフェ特製の五味醤油の米麹で醸した甘酒が登場。
砂糖・アルコールが添加されていない自然な甘みを味わった。
飛び入り参加の熱燗DJつけたろう
後半の最後の最後で飛び入り参加の熱燗DJ。たまたま店内に居合わせた(山梨・上野原市在住)のを無理やりトークへ登壇。
熱燗を軸にした日本酒の温度の専門家。
元々は大手IT企業の社員だったが、日本酒の旨さに目覚めてトラバーユ。
47都道府県をまわり、日本酒の熱燗の文化と魅力を伝えている。
ちなみに皿は回せないとのこと。DJはドリンクジョッキーの略。wwww
■熱燗のだいごみとは世に出し、流通させたいお酒がある。
■売るだけだと文化は維持できない。
■流れをつくることが大事。
発酵トークイベントのまとめ
普段日常的に交流のある方々だが、こういったイベントだとまた違った見え方ができた。
山梨という発酵文化の根付いた地域に住んでいるからこそ、味噌とワインを入り口として発酵を学んび、日本に根付いている発酵文化は思った以上に奥が深く豊かなことを改めて認識した1日だった。
※2019年9月現在 個人の感想