都内に出かけたら時間を作って必ず寄る定食屋がある。
渋谷・ヒカリエ8階にある「d47食堂」だ。
何回か出かけていて定番化しているので詳しくレポートしたい。
d47食堂って?
2012年4月、渋谷・ヒカリエ内8Fにオープン。47都道府県の食文化をテーマに定食化したメニューが大人気。D&DEPARTMENT PROJECT(以下d)が発行しているデザイン視点からみた47都道府県の観光ガイド「d design travel」と連動し、その県らしさの定食を開発している。
「おいしく正しい日本のご飯」をコンセプトに、定食化にあたって料理人たちが現地に出向き、現地の人たちと協力しながら献立をつくっている。
また、生産者を招いてのワークショップや勉強会など、食に関するイベントを定期的に行っている。
d47食堂への道のり
渋谷ヒカリエのエスカレータをぐんぐん昇り7階に到着。
少しわかりづらいが、さらに進行方向の奥にあるエスカレーターに乗るとd47食堂にたどり着く。
ヒカリエ7階までの騒がしさが嘘のよう。静寂とまではいかないが、おちついた雰囲気で食事を愉しむにはちょうどよい。
お一人さまなのでカウンター席に通される。
電源(カウンター席のみ)とWi-Fi完備。
メイン椅子はマルニ木工「ヒロシマ」だ。
使われている椅子は3種類。カリモク60のダイニングチェアや、子ども向けに天童木工のキッズチェアも使われている。深く腰かけられるのでゆっくりと会話と食事を味わうことができる。
これなら妊婦や足腰の弱い方でも安心。
d47食堂で使われている調味料
待ち合い席から眺める日本国内で生産されている調味料の販売棚。
それぞれの生産者たちが大切につくっているものばかりを厳選。店員に聞くときちんと教えてくれる。
メニューの中でも使用されている調味料なので味も確認できる。
d47食堂で使われている食器
伊東史浩氏による益子焼をはじめ、北海道・高橋工芸による木製の器。漆が施されたお椀など全国の長く続いているよいデザインの食器・小鉢で食べることができる。
本物の食器で食べる定食は気分をあげてくれる。傷や破損などの食器ロスもあるだろうが、全国の職人たちが端正こめて造った食器類を頑なに使い続けている姿勢は改めて評価したい。
ちなみに店員が着用しているジャケットはヒッコリー。
今回d47食堂で食べた広島定食 お好み焼き
上から時計回りに…
全体的にビールに超合うメニュー。
ねぶとの唐揚げ
瀬戸内の小魚食文化。
テンジクダイ「ねぶと」と呼ぶ。
煮ごめ
根菜類をサイコロ状に切り、親鸞聖人ゆかりの小豆を欠かさず入れる浄土真宗の精進料理。
落花生
普通の落花生よりかなり大きい「おおまさり」。
お好み焼き
薄い生地と麺、キャベツ、豚肉、卵を重ねる「重ね焼き」な戦後の食糧難を支えた味。
江波巻き
広島菜漬、白ごま、鰹節などで合わせた海苔巻き。
右上のグラスビール
しまなみブルワリー / ファーストラガー
「一杯目に最適なラガーを」コンセプトにした喉越しのよさとホップ感を大事にしたビール。
1,400円(300ml 税込)
2024年9月28日再訪問。2,300円(税込)
d47食堂で過去に食べてきた定食
埼玉定食
県産小麦100%のうどんを木桶仕込み醤油を使った豚肉とネギの温かいつけ汁で。
埼玉名物ゼリーフライ、おなめ豆腐、川越いもの天ぷらを添えて。
うどん汁の醤油味が効いてる。
2023年9月29日再訪問。1,800円(税込)
渋谷定食
渋谷の観光をデザイン視点で考えるワークショップで生まれた渋谷定食。
※限定メニュー 2022年4月21日〜6月2日
上から時計回りに、、、
ポテトサラダ
立ち飲み酒場「丸木屋商店」のポテトサラダ。
ソースをかけて食べる。ソースは初だったのでけっこう衝撃的。
ニシンの山椒漬け
元は福島県会津の郷土料理。
純米にごり酒でキメたかったwww
たらこスパゲッティ
渋谷「壁の穴」発祥の和風たらこスパゲッティ。
昆布出汁の味わい、生たらこの食感、トッピングのあおさ、味変のレモン。
軽い口当たりなので大盛りにしてがっつり食べたい一品。
ストラッチャテッラ
渋谷で作られている搾りたて生乳をつかった「CHEESE STAND」のチーズ。
とってもフレッシュ。
渋谷の土地柄なのか飲べえが好みそうなメニュー構成で面白い。
ちょうど同タイミングでオリジナルクラフトビール「阿久比レモンラドラー #2(生)」をいただくことができた。
ラガービールにレモン果汁と旬の時期に摘み取った完熟レモンの皮を漬け込んで醸造したビール。
めちゃ酸味が高いのでパスタに合わせたが、唐揚げにもピッタリだ。
別途1,300円(税込) ※限定
2022年5月再訪問。1,780円(税込)
越後妻有 つなんポークの豚しゃぶ
2021年12月再訪問。1,800円(税込)
ふきのとう味噌
秋山郷で採れた天然ふきのとう。
味が濃くてごはんが止まらない。
ふきのとうのようかん
まさかの甘味つき。これは新潟定食だけかも。
味噌豆
大豆をじっくりと揚げて味噌と砂糖で和える郷土料理。
お口の切り替えによかった。
つなんポーク豚しゃぶ
米で育った甘みある豚肉のしゃぶしゃぶ。
きゅうり、茄子、大葉、みょうが、青唐辛子で夏の味に。
蒸しアスパラガス
ものすごくジューシーだった。津南産。
煮菜
塩漬けの菜葉と打ち豆をいりこと酒粕で煮たザ・新潟料理。
けんちん汁
新潟というとのっぺい汁だが、こちらは片栗粉でとろみをつけないけんちん汁。
越後妻有の保存食であるぜんまいと根菜たっぷりの正月料理。
香川定食
2019年10月25日再訪問。1,750円(税込)
いりこ出汁の讃岐うどん
良質なものだけを手作業で選別する「やまくに」のいりこを使った温かいうどん。
「しょうゆ豆」は小豆島の木桶醤油と白下糖で味付け。辛子酢味噌で食べる「天ぷら」と焼き豆腐のおでん。いりこ出汁、干し海老のおかず「雪花」に天ぷら二種盛り。
讃岐うどん
目利きされた「銀付きいりこ」の出汁に「宮川製麺所」のうどん。
思った以上に弾力があり、甘くてコクのあるうどんは生姜の爽やかさが出汁とうまくマッチングしている。
半分食べ終わったところで、瀬戸内海産「いりこ一味」をチャージ。
おでん
焼き豆腐と’天ぷらのおでん’(さつま揚げを地元民はこう呼ぶ)を、酢醤油で食べる。
豆腐がフワトロすぎてヘブン感じた。
ひゃっかの雪花
香川の伝統野菜野菜「まんば」をアク抜き後に炒めいりこ出汁でしあげる家庭料理。
豆腐がまるで雪が散るようというところから名づいた炒め煮。
しょうゆ豆
そら豆を「ヤマロク醤油」と白下糖の味付けした、絶品郷土おつまみ。
口直しに醤油漬けしたそら豆。醤油漬けされたもの。
柔らかく、醤油の甘味が全面にでていて食べやすい。
天ぷら
下味をつけてから揚げるじゃがいも天と定番ちくわ天。
じゃがいもは面白い食感。外側は固いが中身はとろーり。子どもたちが好きな味。
食べ終わってみるとかなりボリューミー。
長崎定食同様「香川定食」も定番化して欲しいメニューのひとつだ。
珍味づくし定食
2019年6月10日再訪問。
「FERMENTATION TOURISM NIPPON(2019.04.26〜7.9)」の関連メニューである「珍味づくし定食」。
日本各地に伝わる醗酵食のオンパレード定食だ。1,680円(税込)(左上ワインは別売り)
上から時計回りに(上部分)。
「奈良漬」…古代から受け継がれる漬物文化の最高峰。
「しば漬」…香りがフルーティなのが特徴。あっさりして上品。
「松浦漬」…佐賀・鳴子のクジラの軟骨の酒粕漬。ザ・酒のつまみ。
「あかど漬」(ガラス容器)…熊本・阿蘇の「ずいき」を醗酵させたジューシーな漬物。中央のショウガ醤油で食べる。
「フナのなれずし」(左茶碗 右は出汁の食器)…滋賀のソウルフード「鮒寿司」の茶漬。淡白な味とおもっていたら大分しっかりしていた。半分普通に食べて、残りは出汁をかける。
「すんき」(左上)…長野・木曽に伝わる漬け汁だけで醗酵させる塩を使わない漬物。
ちなみに一番右側のガラス容器の中身は自家製漬物。
大阪定食
2019年1月14日再訪問。 1,550円(税込)
実は以前食べたことがあるのだが、写真の保存先が見つからず、再度食べてみた。開店直後あたりからあるメニュー。出汁は大阪「こんぶ土井」のものを使用している。薄味のなかに、深いコクを感じることができる。ロールキャベツ、きんぴらの小鉢、味噌汁とすべてに出汁が使われている。ロールキャベツの中にも出汁が満たされていて非常にジューシーな一品だ。
また、ご飯のふりかけにも出汁がらを使ったふりかけがかかっていた。
もちろん、定食に使われている昆布も販売している。
※2020年2月追記
岩手定食
2018年10月26日再訪問。 1,680円(税込)
d design travel岩手号の発売にあわせて登場したトラベル誌と連動した鹿児島定食をオーダー。
柳の葉の形をした、すいとんの様なそば「柳ばっと」。南部煎餅の原型、柔らかい「てんぽ」、三陸の乗り三種の酢の物、甘酒とどぶろくで漬けた「がっくら揚げ」、くるみ餅。広い岩手の各地の味を一膳に。
40代以降には量もちょうどよい。20代には少なめかな。種類があるのでゆっくり食べれば、満腹に。
今回の訪問時にはほうじ茶がセルフになった。とてもおいしかったので4杯飲んだ。
最初にでてくる自家製漬物と合わせるとメイドインヘブンだ。
※2017年10月当時 ※2017年11月追記
鹿児島定食
鶏飯 1,700円(税込)
今回はd design travel鹿児島号のフルリニューアルにあわせて登場したトラベル誌と連動した鹿児島定食をオーダー。最初にそのままで、半分くらい食べた後にだし汁をかける2種類の食べ方ができる。だし汁が濃厚で持ち帰りたいくらいくらいだ。
注文すると最初にぬか床でつけた香物とほうじ茶がだされる。
麦味噌、緑茶・鰹節の入った「茶節」を最初に飲むように薦められる。鶏肉やパパイヤ津池がのった「鶏飯」を半分くらい食べたら、出汁をかけ味見をチェンジ。箸休めに「ゴーヤの黒酢漬け」、最後に甘い「ぼんたん漬け」を食べてごちそうさま。
旧 鹿児島定食
1,470円(税込)
天恵美豚の生姜焼き定食
※2013年4月当時
旧旧 鹿児島定食
1,575円(税込)
鹿児島の黒豚カツ丼 / 芋の煮物 / さつまあげの小鉢
※2012年12月当時
岐阜定食
トラベル誌と連動したもの。
朴葉に鶏ちゃんと赤カブ漬け / どぶろく / 煮たくもじ、鮒味噌 / 合わせ味噌汁
※2016年4月当時
栃木定食
1,550円(税込)
栃木黒毛和牛のメンチカツ定食
※2012年4月当時
群馬定食
1,650円(税込)
トラベル誌と連動したもの。
焼きまんじゅう / ソースカツ / おっきりこみ / 味噌こんにゃく
※2017年12月当時
山形定食
1,575円(税込)
山伏豚の生姜焼き / うどと鯖の煮物 / おかひじきのおひたし / だしの小鉢
※2017年4月当時
長崎定食
1,550円(税込)
長崎・松浦港のアジフライ定食
オープン以来人気No.1の定食。自家製タルタルソースとともに、胡麻油で揚げたアジフライが最高クラスにおいしい。
※2012年4月当時
佐賀定食
トラベル誌と連動したもの。1,650円(税込)
有明の海苔(1回だけおかわり自由だった) / 温泉湯豆腐 / 白石蓮根とイカの煮付け / 郷土料理「ふなこんぐい」 / 小城羊羹
※2014年3月当時
大分定食
1,650円(税込)
トラベル誌と連動したもの。
「おおいた冠地どり」とり天 / クロメ豆腐 / がめ煮
※2013年4月当時
旧 大分定食
1,780円(税込)
郷土料理「りゅうきゅう」 / おらんだ / しらす豆腐の小鉢
※2016年8月当時
秋田定食
1,300円(税込)
稲庭うどん
※2015年10月当時
旧 静岡定食
1,470円(税込)
富士朝日鶏の唐揚げ定食
※2012年4月当時
d47食堂で今まで食べてきたサイドメニュー
お品書きは数カ月毎に変わる模様。ちなみに過去に登場した山梨定食はほうとうだった(食べてない)。
※現在の献立とは変更されたものあり
山梨・五味醤油の味噌を使った味噌ケーキ
山梨・五味醤油の米と麦の合わせた甲州味噌を使ったケーキ。
限定販売 600円(税込)
味噌味が濃く、甘じょっぱい。
器は伊賀焼。ケーキの柄とお揃いで可愛い。
塩味と甘みの強い香川・久保さんの豆腐を使った豆腐クリームと合わせると至福を感じるマリアージュ。
2020年2月追記。
白ワイン飲み比べセット
3種で1,350円(税込)
左から
奥野田ワイナリー「フリザンテ」…デラウェアのにごりスパークリング。
マルサン葡萄酒「若尾 一升瓶」…山梨では一般的な一升瓶サイズのボトル。デイリー用。
KISVIN WINERY「KISVIN KOSHU」…しっかりどっしり作られた甲州種のキレイ目ワイン。
全て山梨県産のブドウを使った白ワインだ。
みかんジュースのみくらべセット
左からはっさくしぼり / 自然栽培みかんジュース / 土佐分旦ジュース
酸味と甘味がそれぞれ違う。 シェアも楽しい。
1,200円(税込)
カスタードプリン たまご餡のせ
埼玉・1923年創業の愛鶏園の卵を使ったやさしい味わい。
570円(税込)
黒ごまのブラマンジェ
長崎・九鬼産業が産地や製法まで厳選した国産黒ごま。
450円(税込)
d47食堂のパーティメニュー
パーティーの利用も可能。以下パーティーメニューの一部。
全てのメニューに手書きのポップがあり、生産者の気持ちを正しく伝えている。
富山・セイアグリーの健康卵を使った厚焼き。
全国で醸しているビール & ワインたち。他にも日本酒も。
東京おでん
季節の野菜のおひたし
東京産ハーブとフルーツのサラダ
ふじのくにいきいきどりの唐揚げ
茶碗蒸し
炊き込みご飯
d47食堂のまとめ
味付けは外食にしては薄味だが、食材がしっかりしているので気にならない。
40代以降の男女にとっては少しボリューミー。(ご飯の量は調節可能)
定食の価格帯は少しお高めの1,200~2,300円台。
材料調達、ふるさとならではの調理方法の手間と時間を考えると断じて高くはない。
席と席の間隔が広いので、女性のお一人さまでも心配ない。
ふるさとを思いを馳せながら食べたり、興味ある県の定食に挑戦してみたり、地酒を飲んだりして日本の食文化を胃袋で実感できる希有(けう)な店だ。
※価格は当時のもの
d47食堂のインフォメーション
ランチタイム 11:30~14:30
ティータイム 14:30~18:00
ディナー 18:00~23:00(L.O 22:00)
ラストオーダーはフード21:30、ドリンク22:00
全席禁煙
定休日 不定休
03-6427-2303 予約可(18:00以降)